「電話がひっきりなしに鳴って、他の業務が進まない…」「受付に行列ができてしまい、患者さんをお待たせしている…」「ネット予約を導入したけれど、結局『どうやって予約するの?』という電話が減らない…」

日々の診療や運営に追われる中で、このようなお悩みを抱えているクリニックや病院、介護施設の皆さまは少なくないかもしれません。患者さんを一人でも多く受け入れたい、でも現場の負担はこれ以上増やしたくない。このジレンマを解決する上で、今、改めて見直したいのが「Googleマップ」を入り口にした予約の流れです。

この記事では、クリニックや小規模な病院、訪問看護ステーション、介護施設などで、患者さんの受け入れやスタッフの管理を担当されている方々に向けて、GoogleマップやGoogle検索からの予約をスムーズにするための具体的な方法を、一つひとつ丁寧に解説していきます。難しい専門用語や、細かすぎる分析の話はしません。「これなら、うちのクリニックでもできそうだ」と感じていただけるような、実践的なヒントをお伝えできればと思います。

(ちなみに、予約の流れがスムーズになって新しい患者さんが増えると、今度は現場の人手が気になってくるかもしれません。そのような時は、必要な時に必要な期間だけ看護師さんを確保できる「クーラ」のようなサービスもあります。まずは目の前の予約導線の改善から、一緒に考えていきましょう:https://business.cu-ra.net/

なぜ今、「Google経由の予約」が大切なのでしょうか

多くの患者さんが、体の不調を感じた時や、健診を受けたいと思った時、まず手元のスマートフォンで「地名 + 診療科」や「近くの 〇〇クリニック」のように検索します。その検索結果に表示されたGoogleマップやクリニックの情報を見て、受診するかどうかを決めるのが、ごく当たり前の行動になっています。

このとき、もし検索結果の画面に「予約」への入り口が分かりやすく表示されていたらどうでしょうか。患者さんは、わざわざクリニックのホームページを探して、予約ページを何ページもクリックしてたどる必要がありません。検索したその場で、数回タップするだけで予約を完了できます。この「検索から予約までの手軽さ」が、患者さんにとっても、そして電話対応の負担を減らしたいクリニック側にとっても、大きな利点となるのです。

Googleビジネスプロフィール(Googleマップ上に表示される施設情報のことです)には、主に二つの予約への入り口があります。それぞれの特徴を少し見てみましょう。

Googleマップ上に表示される2つの予約方法

Googleビジネスプロフィールには、患者さんを予約に導くための代表的な方法が2つあります。どちらも一長一短があり、自院の状況に合わせて使い分けることが大切です。ここでは、それぞれの見た目や特徴の違いを、少し視覚的に整理してみましょう。

2つの予約方法くらべてみましょう

1. 予約リンク (Appointments)

  • 見た目:情報欄の中に「予約」という青い文字のリンクが表示されます。
  • 仕組み:クリックすると、自院のホームページの予約ページや、利用している予約システムのページに直接移動します。
  • 手軽さ:設定が簡単です。指定のURLを登録するだけですぐに始められます。
  • 向いている場合:まずは手軽にネット予約の入り口を作りたい、特定の予約システムに縛られたくない場合に適しています。

2.「Googleで予約」機能

  • 見た目:目立つ場所に青い「オンラインで予約」ボタンが表示されます。
  • 仕組み:Googleが提携している特定の予約システムを導入している場合に利用できます。ボタンを押すと、Googleの画面内で予約が進みます。
  • 手軽さ:患者さんはサイトを移動する必要がなく、予約完了までが非常にスムーズです。
  • 向いている場合:対応している予約システムを導入済みで、より多くの患者さんをスムーズに予約まで導きたい場合に強力な選択肢になります。

「Googleで予約」の方がボタンが大きくて目立ちやすいため、患者さんの目に留まりやすい傾向があります。一方で、まずは「予約リンク」をきちんと設定するだけでも、電話での問い合わせを減らす効果は十分に期待できます。大切なのは、検索してくれた患者さんを迷わせずに、予約というゴールまで案内してあげることです。

多くのクリニックで起きている、予約の「もったいない」現状

「うちはホームページに予約ボタンを設置しているから大丈夫」と思っていても、実は患者さんにとっては分かりにくく、予約をためらわせてしまうケースが少なくありません。現場でよく見られる「つまずきポイント」をいくつか挙げてみましょう。

  • せっかく予約リンクをクリックしたのに、なぜかクリニックのトップページに飛ばされてしまう。患者さんはそこからまた「予約」のボタンを探さなければならず、手間がかかります。
  • インフルエンザの予防接種を予約したいのに、通常の診察予約のページに案内されてしまう。ワクチンや健診など、目的別の入り口が用意されていないため、患者さんはどのメニューを選べばいいか迷ってしまいます。
  • Googleマップの情報を見ると、予約リンクが下の方に小さく表示されているだけで、多くの患者さんがその存在に気づいていません。
  • そもそもネット予約の手段がなく、電話予約しか受け付けていない。そのため、仕事や家事で日中忙しい方や、診療時間外にクリニックを探している方の予約を取りこぼしてしまっています。
  • ネット予約の流れが複雑なため、結局「よく分からないから」と電話がかかってきてしまい、受付の負担が減らない。

これらの課題は、決して特別なものではなく、多くの医療機関で日常的に起きていることです。しかし、その多くは、これからご紹介する「Googleマップの情報の整理」と「予約リンクのちょっとした工夫」で改善できる可能性があります。まずは、患者さんの気持ちになって、「どうすればもっと簡単に予約できるだろう?」と考えてみることが第一歩です。

他のクリニックはどうしてる?参考になる具体的な取り組み

理屈だけではイメージが湧きにくいかもしれませんので、実際にGoogleマップなどを活用して、患者さんにとって分かりやすい予約の流れを作っている具体的な事例を見てみましょう。様々な予約システム会社が、クリニックの課題を解決するためにGoogleとの連携を進めています。

1. LINE予約とGoogle予約の組み合わせ(烏丸御池さくやま乳腺クリニック様の例)

京都府にある烏丸御池さくやま乳腺クリニック様では、「Nest診療」というLINEを使った予約システムを導入しています。このシステムの興味深い点は、日常的に患者さんが使い慣れているLINEで手軽に予約できる流れを作りつつ、Googleの「Googleで予約」機能にも対応していることです。

これにより、初めてクリニックを探す患者さんは、Google検索やGoogleマップで見つけた時に表示される「オンラインで予約」ボタンからスムーズに予約できます。一方で、一度受診したことのある患者さんは、普段使っているLINEから次回の予約や変更が手軽に行えます。このように、新規の患者さんと既存の患者さん、双方にとって便利な入り口を用意することで、開業から早い段階で多くの予約を獲得することに成功したと紹介されています。

参照:Nest診療 公式サイト 導入事例

2. 目立つ「青い予約ボタン」で機会を逃さない(予約システム「アポクル」の例)

多くのクリニックで利用されている予約・問診システムの「アポクル」も、「Googleで予約」との連携を積極的に進めているサービスの一つです。アポクルの公式サイトでは、この連携を行うことで、Googleビジネスプロフィールの目立つ位置に青い予約ボタンが表示されるメリットを解説しています。

従来の小さなテキストリンクに比べて、このボタンは格段に視認性が高くなります。特に、スマートフォンの小さな画面でクリニックを探している患者さんにとって、「ここに予約ボタンがある」と一目で分かることは、予約完了までの心理的なハードルを大きく下げてくれます。電話での問い合わせが多い、特に外来の受付業務が煩雑になっているクリニックほど、この「検索から予約までの時間短縮」の効果を実感しやすいと言えるでしょう。

参照:アポクル 公式サイト

3. 地図情報と連携し、最短経路で予約へ(GMO「メディカル革命」の例)

GMO社が提供する「メディカル革命 byGMO」という診療予約システムも、Googleビジネスプロフィールとの連携機能を発表しています。このシステムは、Googleマップの位置情報と連携し、「オンラインで予約」ボタンを表示させることで、検索した患者さんを最短の動線で予約まで導くことを目指しています。

特に小規模なクリニックでは、一件一件の予約の取りこぼしが経営に与える影響も少なくありません。このようなシステムを活用することで、広告などに大きな費用をかけなくても、まずは「クリニックを探してくれた人を確実に取り込む」という、集患の基本を強化することにつながります。

参照:GMOメディカル革命 byGMO 公式サイト プレスリリース

これらの事例から分かるのは、規模の大小にかかわらず、多くのクリニックが「Googleマップという巨大な入り口」を意識し、そこからの予約の流れをいかにスムーズにするか、という点に力を入れているということです。利用している予約システムがGoogle連携に対応しているか、一度確認してみる価値はあるでしょう。

(予約の流れが整備され、患者さんが増えてくると、受付や診療補助のスタッフの負担も気になります。慢性的な人手不足や急な欠員に備えたい場合、短期・単発で勤務できる看護師さんを探せる「クーラ」を併用することで、現場の運営がより安定します。ご興味があれば、情報収集だけでもお試しください:https://business.cu-ra.net/

さっそく実践!予約がスムーズになる5つのステップ

では、具体的に何から手をつければ良いのでしょうか。ここでは、専門的な知識がなくても始められる、5つのステップに分けて改善の流れを設計してみましょう。

改善への5ステップ:検索から予約までをスムーズに

1

まずはお店の基本情報を整える(土台づくり)

クリニックの正式名称、住所、電話番号、診療時間、休診日といった基本情報が正確に登録されているかを確認します。特に住所と地図上のピンの位置がずれていないかは重要です。清潔感のある外観や待合室、スタッフの様子の分かる写真を掲載し、口コミには誠実な返信を心がけましょう。この土台がしっかりしているほど、患者さんは安心して予約ボタンを押してくれます。

2

予約リンク先を「目的のページ」へ(専用入口の設置)

予約リンクのURLを、ホームページのトップページではなく、「予約カレンダー」や「予約メニュー選択画面」など、予約完了に一番近いページに設定します。例えば、インフルエンザ予防接種の時期なら、その予約専用ページのURLに直接リンクさせましょう。この「目的別の専用入口」を用意するだけで、患者さんの手間が大きく省けます。

3

「Googleで予約」か「予約リンク」か、上手に使い分ける

まずはどのクリニックでもすぐに始められる「予約リンク」を確実に設定しましょう。もし、お使いの予約システムが「Googleで予約」に対応しているなら、ぜひ有効化してみてください。より目立つ場所にボタンが表示され、予約につながりやすくなる可能性があります。システムを今すぐ変えられなくても、まずは既存の予約ページのURLを登録することから始められます。

4

「投稿」機能で予約のきっかけを作る(お知らせの発信)

Googleビジネスプロフィールには、ブログのように情報発信ができる「投稿」という機能があります。「インフルエンザ予防接種の予約を開始しました」「〇月〇日は臨時休診です」といった季節のお知らせを投稿し、その投稿に「予約」ボタンを付けることができます。これにより、患者さんが予約の存在に気づくチャンスが増えます。

5

効果を「ざっくり」と確認する(簡単な計測)

複雑な分析は必要ありません。予約リンクのURLの末尾に、Googleアナリティクスなどで識別するための簡単な目印(UTMパラメータといいます)を付けておくだけで、「Googleマップ経由でどれくらいの予約が入ったか」を大まかに把握できます。例えば、?utm_source=google&utm_medium=organic&utm_campaign=gbp-reserve のような文字列をURLの最後に追加します。効果が感じられれば、さらに改善を進めるモチベーションになります。

ちょっとした疑問と、その解決策

いざ改善を始めようとすると、細かい疑問や新たな問題が出てくることもあります。ここでは、よくある「つまずきポイント」と、その対処法をいくつかご紹介します。

「予約ページがスマートフォンで見にくい、表示が遅いみたい…」

これは離脱の大きな原因になります。スマートフォンの小さな画面でも文字が読みやすく、ボタンが押しやすいデザインになっているか確認しましょう。ページの表示が遅い場合は、掲載している写真のファイルサイズを小さくしたり、入力フォームの項目を必要最低限に絞ったりするだけでも改善されることがあります。

「一般診療と、ワクチンや健診で予約システムが別々なのですが…」

このような場合は、それぞれの予約ページの「専用入口」を用意し、Googleビジネスプロフィールの予約リンク設定で、複数を登録することができます。「一般診療のご予約」「予防接種のご予約」「健診のご予約」のように、リンクに分かりやすい名前を付けて並べておけば、患者さんは自分の目的に合った入り口から迷わず進むことができます。

「スタッフの急な休みなどで、予約枠の更新が間に合わないことがあります」

予約システム側での枠の調整はもちろんですが、それと同時に、Googleビジネスプロフィール側でも「特別営業時間」や「臨時休業」の設定をこまめに行うことが大切です。検索した時に表示される情報と、実際の受付状況が異なっていると、患者さんの不信感につながってしまいます。情報の同期を意識しましょう。

「ネット予約は増えたけど、結局、場所や持ち物についての電話が増えてしまいました」

これは非常によくあるケースです。予約が完了した後に表示される「サンクスページ」や、予約完了時に自動送信されるメールの内容を充実させましょう。「当日の持ち物」「駐車場の有無と場所」「お支払い方法(現金のみ、カード可など)」「おおよその所要時間」といった、患者さんが事前に知りたい情報を詳しく記載しておくことで、問い合わせの電話を未然に防ぐことができます。

(受付の電話対応が慢性的に多く、スタッフが疲弊している状況であれば、短期・単発で業務をサポートしてくれる看護師さんを「クーラ」で探してみるのも一つの方法です。必要な時に、必要なスキルを持った人材を確保できるため、現場の負担を柔軟に軽減できます:https://business.cu-ra.net/

まとめ:小さな改善が、現場の負担を軽くする

ここまで、Googleマップを入り口にした予約の流れをスムーズにするための方法について見てきました。改めて、大切なポイントを整理してみましょう。

  • まずは基本から。 クリニックの名称や住所、診療時間など、Googleマップ上の基本情報を正確に保ちましょう。
  • 予約への近道を作る。 予約リンクの行き先は、トップページではなく、予約完了に一番近い「目的別の専用ページ」に設定します。
  • 使える機能は活用する。 もし利用しているシステムが対応しているなら、「Googleで予約」を有効にして、患者さんの目に留まる機会を増やしましょう。
  • 「投稿」機能でお知らせする。 ワクチンの案内や休診日のお知らせなどを投稿し、そこにも予約ボタンを添えて、予約への入り口を増やします。
  • 効果はざっくりでOK。 難しく考えず、簡単な目印をつけておくだけで、Googleマップからの予約がどれくらいあるか把握できます。

一つひとつの改善は、とても地味で小さなことかもしれません。しかし、この積み重ねが、ピークタイムの電話の本数を少しずつ減らし、受付スタッフの心に余裕を生み出します。そして、患者さんにとっては「いつでもスムーズに予約が取れる、通いやすいクリニック」という信頼につながっていくはずです。

ご紹介した事例のように、特別な機材や大規模な投資をしなくても、今あるものを少し工夫するだけで、予約の流れは大きく改善できます。まずはご自身のクリニックのGoogleビジネスプロフィールを開いてみて、「予約リンクは、ちゃんと目的のページにつながっているかな?」と確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

無理のない運営体制づくりをサポートします

予約導線を整え、新しい患者さんが増えていく中で、現場の「人手」が新たな課題になることも少なくありません。特に急な欠員が出た場合や、繁忙期だけ人手を厚くしたい場合には、採用にかかる時間や手間が大きな負担となります。

看護師専門のマッチングプラットフォーム「クーラ」は、そんな時に頼れる選択肢の一つです。数日単位の「お試し勤務」から利用できるため、採用後のミスマッチを防ぎながら、本当に必要な期間だけ、スピーディに人材を確保できます。募集から労務管理まで、オンラインで完結するため、担当者の方の負担も軽減できます。

持続可能なクリニック運営のために、新しい人材活用の形を検討してみませんか。まずは情報収集だけでも、お気軽にご覧ください。

クーラの詳細はこちら: https://business.cu-ra.net/

参考情報

本記事を作成するにあたり、以下の公開情報を参考にしました。仕様やサービス内容は変更される場合がありますので、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

  • Google ビジネス プロフィール ヘルプ: 予約リンクを管理する
  • リベラ株式会社: MEO対策コラム
  • 株式会社アポクル: アポクル公式サイト
  • GMO医療予約技術研究所株式会社: 診療予約システム「メディカル革命 byGMO」
  • 株式会社クロエ: Nest診療 導入事例
  • 株式会社 meo-hack: MEO-HACK ブログ