「大阪の看護師はどれくらい残業しているの?」「残業を何とかして減らせないかな」と思っていませんか?

看護師は忙しい上に、緊急を要する対応や突発的な業務が発生しやすい仕事です。残業が多くなると、体力的にも精神的にも疲れが溜まってしまいますよね。

近年では働き方改革が推進され、病院などでも残業を減らす取り組みが行われており、工夫次第では残業を少しでも減らせるかもしれません。

今回は、大阪府で働く看護師の残業時間の実態や残業を減らすための工夫についてご紹介します。

大阪で働く看護師の残業は1ヶ月あたり平均何時間?

令和4年度の賃金構造基本調査によると、大阪府で働く看護師の1ヶ月の残業時間は平均5時間となっています。

過去5年間のデータをみると、大阪府で働く看護師の残業時間はやや軽減してきているといえるでしょう。

また、全国平均と比べても大阪の看護師は残業時間がやや少ない方であるといえます。

ただし、看護師個人に回答してもらった日本看護協会の調査(2021年)をみると、実際の残業時間と申告した残業時間に8.3時間の差があることが分かっています。つまり、残業しても申告できていないサービス残業が発生しているのです。

この点を考慮すると、大阪府の看護師は月平均 5時間+サービス残業 約8時間=13時間程度残業していると予想されます。

看護師の時間外労働には始業前労働も含まれる!?

看護師の仕事は、始業前労働も発生しやすくなっています。

例えば、勤務時間が開始したらすぐに対応できるように受け持ち患者さんの情報収集をする必要があります。また、始業前に申し送りが行われているため、早めの出勤を余儀なくされるケースもあるようです。

日本医療労働組合連合会の調査では、日勤で30分以上の始業前労働をしている看護師は45.9%と半数近くいました。

看護師は不規則な勤務に加えて、労働時間が長くなりやすいことから、体力的にも精神的にも負担がかかる仕事だといえるでしょう。

看護師の残業が多くなる理由

看護師の仕事はどうして残業が多くなるのでしょうか。その理由について詳しくみていきましょう。

1. 人手不足

看護師の残業が多くなる理由の一つは人手不足によるものです。

看護師が必要とされる人数に足りていなければ、1人あたりの業務量が増えてしまうことになります。そして、勤務時間内に対応しきれなければ、当然残業も多くなるでしょう。

2. 看護記録の作成

看護記録の作成も残業が発生する要因の一つです。

日本看護協会の調査(2017年)では、残業で行った業務内容として「診療の補助や患者さんの対応業務」の次に多いのが「看護記録や事務作業」となっています。

実施した業務内容はできるだけ早く記録に残さなければなりません。しかし、他の業務との兼ね合いで記録は後回しになってしまうことが多く、結果的に勤務時間内で終わらなくなってしまいます。

3. 申し送り

看護師の勤務形態として、申し送りが必ず発生することも残業の要因といえます。

例えば、3交替制勤務では日勤から準夜勤、準夜勤から夜勤など、1日に3回の申し送りが必要です。

申し送りをすること自体にある程度の時間を要するため、他の業務への負担がかかり残業が生じる可能性があります。

4. 勉強会・研修会への参加

院内研修会や病棟内での勉強会は、就業時間外に行われることがあります。

看護師は業務に対応するために、最新の医療知識や技術を習得しなければなりません。勉強会や研修会は就業時間内に行われるのが理想的ですが、患者さんの対応などと並行して行うのは難しいもの。

そのため、勤務時間外に勉強会・研修会に参加することが多くなってしまいます。

5. 緊急入院や急変への対応

看護師は緊急入院や患者さんの急変に対応する機会が多いことも残業につながりやすい点です。

看護師の人員が不足していると、次の勤務帯の人に引き継ぎできず、勤務時間を過ぎても対応しなければならなくなります。

また、通常の業務にも負担がかかり、残業せざるをえないケースが多くあります。

看護師の残業を減らすための5つの工夫

勤務形態などにより看護師は残業が発生しやすい傾向がありますが、減らすためにはどのようにすればよいのでしょうか。工夫次第では残業を減らせる可能性もありますので、残業対策をぜひ参考にしてください。

1. 業務の進め方を見直す

業務の進め方を見直すことで、残業時間を減らせる可能性があります。

見直しのポイントとして「効率をよくする」ことです。

例えば、無駄が生じている点や時間が必要以上にかかっている点を見直すことで、作業時間を大幅にカットできるはず。優先順位をつけることを常に意識できると、業務をスムーズに行えるようになります。

時間管理が苦手な人は、タイマーなどを活用して時間に意識を向けるようにするとよいでしょう。

2. 仕事の早い先輩看護師にコツを教わる

仕事を終えるのが早い先輩看護師から残業を少なくするコツを教わるのもよいでしょう。

仕事を終えるのが早い人の多くは、無駄な時間が少なく、スキマ時間を効率的に使っています。先輩看護師とは経験やスキルの差があり、全く同じように動ける訳ではありませんが、すぐに取り入れられる対策もあるはず。

直接先輩に聞くことが難しい場合は、先輩看護師の仕事ぶりを観察してみましょう。仕事の手順やスキマ時間の活用法などを見ることで、取り入れられるポイントが見つかるかもしれません。

3. 他の看護師と協力関係を築く

他の看護師と困った時には助け合う関係性を築くことで、残業時間を減らせる可能性があります。

看護師の仕事は、記録作成のように自分にしかできない仕事と、患者さんの処置など他の看護師でもできる仕事があります。

困った時には他の看護師に手を借りたり任せたりすることで、業務の負担を減らし、残業時間を少なくできます。

他の看護師が困っている時は積極的に手伝うなど、お互いに助け合うことが信頼関係をよくするポイントです。

4. 看護師長やリーダー看護師に相談する

看護師長やリーダー看護師に相談することで、残業時間を減らせる可能性もあります。

業務や残業がどんなに大変でも黙ってこなしていると、看護師長やリーダー看護師には気づいてもらえていないかもしれません。

まずは自分で業務の進め方を見直してみて、それでも改善できなければ、看護師長やリーダー看護師に相談しましょう。

現状を伝えることで、業務量を調整したり改善点を一緒に考えてくれる可能性があります。

5. 残業の少ない職場への異動や転職を検討する

残業対策を可能な限り行ってもどうしても残業を減らせない場合は、異動や転職を検討することも一つの手段です。

なぜなら、診療科の特徴や病棟の体制などによっては、残業対策をしても業務量や残業を減らせない可能性があるからです。

異動や転職によって、残業のない職場で働ける可能性もあります。残業が多すぎて心身の調子を崩してしまう前に、看護師としてどのような働き方をしたいのかを落ち着いて考えてみましょう。

まとめ

大阪府の看護師は、以前よりも残業時間がやや少なくなってきていますが、申告できていないサービス残業を含めるとやはり残業は多いといえるでしょう。また、病棟の体制などによって残業時間に幅があるのが現状です。

残業が多くてつらいのは、職場の他の看護師も同じ気持ちのはず。残業を減らすために個人で改善できることに取り組んだり、周りの看護師へ働きかけることも大切です。

看護師が働きやすい職場環境を作ることは、残業を減らすだけでなく、より良い看護の実践にもつながります。