「看護師の特定行為って何をするんだろう」「パッケージ研修など、どれを受けたらよいのかわからない」と悩んでいませんか?

看護師のキャリアアップの一つである特定看護師。2020年4月より特定行為のパッケージ研修が開始され、以前よりも受講しやすくなっています。

特定行為の領域別パッケージ研修や受講するメリットを知り、キャリアアップの一つの選択肢にしてください。

特定行為研修とは?

特定行為研修とは、看護師が特定行為に必要とされる高度な知識・技術を身につけるための研修です。厚生労働省が指定しているのは21区分38行為であり、各特定行為についての研修を修了することで特定看護師として認定されます。

そもそも特定看護師は何ができるの?

特定看護師は医師の手順書をもとに高度な知識・技術を提供する看護現場のエキスパートといえます。

たとえば、患者さんに脱水症状がみられた場合、医師の手順書に示されている範囲内であれば看護師の判断で特定行為が行えます。通常であれば医師の指示や対応を待つことで時間のかかっていた行為でも、特定看護師がいればタイムリーに提供できるのです。

特定看護師と認定看護師はどのように違うの?

特定看護師と似ている資格に認定看護師がありますが、どのように違うのでしょうか。

特定看護師と認定看護師はどちらも専門的な知識・技術にもとづいて看護を「実践」するため、業務内容は重なる部分があります。両者の異なる点は、認定看護師は「実践」だけではなく他の看護師への「指導」や「コンサルテーション」も担っていることです。

特定看護師はあくまで必要な処置を素早く提供することに重きが置かれているため、自身の実践力を高めたい人に向いているでしょう。

領域別パッケージ研修とは?

2020年より開始した領域別パッケージ研修は、より受講しやすいように内容がまとめられたもの。

2015年から開始した特定行為研修制度ですが令和元年9月で修了生は1954名*1 と少なく、目標とする「2025年度までに修了生10万人」にとどくのは難しい現状がありました。高齢化や医師の働き方改革などにより特定看護師を増やすことは急務とされています。

そこで、実施頻度が高い特定行為をまとめ受講しやすくしたのがパッケージ研修です。現在は6領域あります。

在宅・慢性期領域
外科術後病棟管理領域
術中麻酔管理領域
救急領域
外科系

たとえば、救急領域で働いている看護師は「気道確保に係るもの」「人工呼吸器に係るもの」「動脈血液ガス分析関連」などに対応する機会が多く、特定行為ができるようになりたいと思う人も多いでしょう。

これまでの研修制度では、区分ごとに研修を受けなければならず修了までに時間がかかっていました。パッケージ研修では、一部の内容を免除したうえでまとめて受講できるため効率的に学べるのです。

領域別パッケージ研修を受講する3つのメリット

職場によって状況や業務が異なるため、区分ごとに受講するかパッケージ研修を受けるべきか迷ってしまうことも。パッケージ研修には次の3つのメリットがあります。

1.研修時間を短縮できる

パッケージ研修の最大のメリットは研修時間を少なくできることです。

人手が不足している職場では、他のスタッフに仕事を任せて長時間の研修に参加するのが難しい場合も。しかし、パッケージ研修では一部の特定行為は免除されるので、区分ごとに受講するのに比べて短い研修時間で修了できます。

研修時間が短縮することで職場の管理者側も研修に送り出しやすくなるため、受講するか検討中の人もチャレンジしやすくなるでしょう。

2. 費用の負担を軽減できる

パッケージ研修では費用の負担を減らせるのもメリットです。

特定行為研修にかかる費用は30〜250万円と研修機関によってばらつきがあるものの金銭的な負担は大きいもの。パッケージ研修では一部の特定行為は免除されるので、区分ごとに受講するのに比べて受講料を数万円少なくできます。

厚生労働省が定める条件を満たす場合は、受講料の最大70%を支給してもらえる教育訓練給付制度も利用できるので事前に確認しておくとよいでしょう。

3. 現場の需要にあうスキルを活かしやすい

パッケージ研修を受講することで現場の需要にあったスキルを習得できます

特定行為の数が多いため、どれから手をつけていいのか迷ってしまうことも。パッケージ研修は実施頻度の高い特定行為がまとめられているため、その領域で必要とされるスキルを効率よく学べます。

専門的な知識・技術を高めて、いち早く実践に役立てたい人におすすめです。

領域別パッケージ研修を受講する際に気をつけておきたいこと

コンパクトにまとめられたパッケージ研修ですが、修了までには時間や労力がかかるもの。受講を後悔しないためにも、気をつけておきたい注意点を知っておきましょう。

1.指定研修機関が限られるため早めにチェックする

指定研修機関が限られているため、受講先は早めに確認しておきましょう

特定行為研修の推進とともに研修機関を増やす動きはありますが、パッケージ研修を受けられる研修機関は多いとはいえません。都道府県によっては研修機関が1〜2カ所という場合も。

1研修機関での募集人数も限られており、施設によって受講料も異なるため、早めに確認しておくのが重要です。

2. 対面授業がある場合も考慮して通学可能な場所を選ぶ

研修機関によっては対面授業や登校日があるため、通学可能な場所を選びましょう

最近ではほとんどの研修機関でeラーニングの受講が可能になっていますが、講義内容によっては登校が必要な日も。一部の研修機関ではすべて対面授業で行っている場合もあるので、研修形式やスケジュールを確認しましょう。

仕事と両立するためにも、自宅からできるだけ近い場所を選ぶと負担を減らせます。

3. 研修を免除された特定行為は実施できない

パッケージ研修では免除された特定行為は実施できないことを知っておきましょう

パッケージ研修はコンパクトな内容にするために、一般的に実施頻度の低い特定行為は含まれていません。パッケージ研修で受講していない内容については実施できないと覚えておきましょう。

現場にあうスキルを身につけるためには、自分の職場でどのような需要があるのかを確かめて研修内容を選ぶことが大切です。

パッケージ研修で効率よくスキルアップしよう!

特定行為のパッケージ研修であれば、時間的・金銭的な負担を減らして効率よく学べます。研修内容を選ぶのに大切なことは、職場のニーズや自分のなりたい姿を明確にすることです。

必要とされる看護知識・技術をスキルアップさせて、日々の看護に役立てましょう!

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*1 参考:厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」
参考:日本看護協会「看護師の特定行為研修制度ポータルサイト」
   厚生労働省「これからの医療を支える看護師の特定行為研修制度ご案内」

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