救急外来・病棟、ICUなどで働いていて「専門的な知識や技術をもっと身につけたい」「スキルアップする資格には何があるんだろう」と思っていませんか?

看護師のスキルアップ資格には認定看護師や専門看護師の他、民間資格にもさまざまな種類があります。資格を取得すれば、業務の幅が広がるだけでなく、転職する際にも有利になるでしょう。

今回は、救急・ICU看護師のスキルアップにおすすめできる民間資格5選と大阪で受講できる場所をご紹介します。

救命処置の資格ならBLS・ACLS・PALS

心肺蘇生法講習会を全国で開催している日本ACLS協会の認定資格であるBLS・ACLS・PALS。これらの資格はアメリカ心臓協会(AHA)と正式に提携しているため、国際的にも通用する資格です。看護師として取得しておきたい資格を一つずつご紹介します。

緊急時対応の基礎となるBLS(一次救命処置)

救命の基礎となるのがBLSプロバイダーです。

これは心停止後の胸骨圧迫やAED使用など一次救命処置について学ぶ内容となっています。BLSプロバイダーコースは医療従事者だけでなく一般の方も受講できます。

看護師としてどの診療科であっても最低限身につけておきたい資格であり、BLSよりも上位の資格を取得するためには必須の資格です。

この他に、座学の内容のみオンラインで受け、別日に実技を受講するHeartCode®BLSコースも設置されています。対面での受講時間を短縮でき、費用も少し抑えられるのが利点です。

救急やICUで活かせるACLS(二次救命処置)

ACLSプロバイダーは、救急やICUで働くなら取得しておきたい資格です。

このコースでは、心停止、心拍再開直後、急性不整脈、脳卒中、急性冠症候群の知識や介入技術を身につけられます。

二次救命処置の知識や技術を学ぶことで、緊急事態が生じた際にも落ち着いて対応できるようになるでしょう。

小児の緊急事態に役立つPALS(小児二次救命処置)

PALSプロバイダーは、小児患者の緊急事態に対応するための資格です。

このコースでは、小児の呼吸器系・ショック・不整脈・心肺停止などによる緊急事態が生じた際の介入技術や管理方法について学びます。

救急やICUでは小児患者に対応する場面も多くあります。落ち着いて適切に対応できるようにするために、PALSはACLS同様に取得しておきたいスキルの一つでしょう。

大阪府にはBLS・ACLS・PALSコースを受講できる場所がいくつかあります。

  • 大阪なんばトレーニングラボ
  • パナソニック健康保険組合 松下記念病院
  • 大阪歯科大学附属病院
  • 近畿中央呼吸器センター
  • 府中病院 など

開催場所や日時などは、日本ACLS協会のホームページで直接ご確認ください。

脳卒中急性期の患者にしっかり対応したいならISLS

脳卒中急性期の診療に必要なスキルを身につけられるのがISLS(Immediate Stroke Life Support)プロバイダーコースです。

ISLSは、日本神経救急学会、日本救急医学会、日本臨床救急学会、日本救急看護学会が監修する研修システムです。

救急やICUでは脳卒中の患者も多く、初期診療では迅速な対応が求められています。ISLSコースでは、脳卒中急性期の患者に対して神経蘇生の迅速な評価・対応ができるように、意識障害、脳卒中スケールなどの使用、呼吸・循環管理について学びます。

コース内では、模擬患者を用いたシミュレーション研修があるため、職場でもすぐに実践でき看護スキルの向上につながるでしょう。

大阪府では耳原総合病院で年1回程度開催。近隣の兵庫県では、神戸大学や北播磨総合医療センターなどで開催されています。開催日程は不定期のため、ISLSのホームページでご確認ください。

外傷患者への看護ケアを向上したいならJNTEC

救急外来や救命救急センターで働いている看護師は、外傷初期患者への看護スキルを向上するためのJNTECプロバイダーコースがおすすめです。

外傷患者の中には、適切な処置を施せば助かったと推定される外傷死亡(Preventable Trauma Death: PTD)もあります。このPTDを予防するために、初期診療を適切かつ迅速に行うシステムの構築や医療従事者の知識・技術の向上が求められています。*1

JNTECは日本救急看護学会が主催するセミナーであり、致死的胸部外傷やショックなどの知識、蘇生や基本的な処置、対応などについて学びます。

セミナーの中では症例検討が複数設けられているため、実践に役立つ内容といえるでしょう。

大阪府では大阪医科大学や大阪赤十字看護専門学校でこれまでに開催実績がありますが、現在は開催されていません。近隣では滋賀県の医療研修施設「ニプロiMP」で不定期に開催されています。受講希望の方はJNTECホームページでご確認ください。

*1 JATEC「外傷初期診療ガイドライン誕生の背景」

まとめ

救急やICUなどで働く看護師は、緊急事態に遭遇する機会が多く、迅速かつ適切な対応が求められます。専門的な知識や技術を深めることで、患者さんへの看護ケアに活かすことができ、仕事のやりがいをさらに感じられるでしょう。

今回ご紹介した全ての資格にはインストラクターになれる研修コースもあり、スキルアップにはキリがありません。まずは自分の職場や看護に活かせる資格からチャレンジしてみましょう。